Flashランタイムのロードマップ更新情報 [Edit]

Adobeの「Flashランタイムのロードマップ」 には、「Adobe Flashランタイムの概要と、Flashランタイムの開発のロードマップについて説明」 されています。Adobeの現在の方針と計画を知るうえで、重要なドキュメントです。ただ、日本語版はその更新が少し滞っているようで、本稿を書いている時点で2012年2月23日が最終の日付です。

英語版の原文は、その後2012年3月28日に更新され、最近6月1日にまた情報が加えられました。そこで、この2回の更新のうちFlash PlayerとActionScriptに関わる内容を簡単にご紹介します。

Flash Player 11.2

Flash Player 11.2は、2012年第1四半期でのリリースを目指しています。3月28日付けでプレミアム機能についての情報が加えられています[*1]

  • デバッグプレーヤーでプレミアム機能の使用を知らせる。リリースプレーヤーにおけるコンテンツの動作は制限されない。

Flash Player 11.2のプレミアム機能

  • domainMemoryのAPIが制限なく使える。
  • domainMemoryのAPIとともにStage3DをFlashのデバッグプレーヤーで用いると、将来のプレーヤーでは開発者がAPIをライセンスにもとづいて使っているという透かしが表れる。

Flash Player「Cyril」

コード名「Cyril」はFlash Player 11.2に続いて、2012年の第2四半期にリリースが計画されています[*2]。3月28日付けおよび6月1日付けでつぎのような機能の情報が加えられました。なお、「マウスボタンを外で放したときのイベント」は、6月1日付けで次期Flash Playerの「Dolores」から繰り上げられたものです。

  • Firefoxの保護モードへの対応
  • BitmapDataのJPEGおよびPNG形式による圧縮のサポート。
  • Mac OS X App Storeアプリケーションのサンドボックス化をサボート。
  • Stage3Dのテキストストリーミングをサポート。
  • GPUドライバの詳細情報を拡充。
  • Bitmapに描画品質のAPIが加わる[*3]
  • マウスボタンを外で放したときのイベントが加わる。
  • Flash Playerのサイレント・アップデートがMac OS Xをサポートする。
  • Android 4.0デバイスでスタイラスをサポート(Adobe AIR)。
  • iOSのUSBデバッグ(Adobe AIR)。
  • iOSシミュレータのサポート(Adobe AIR)。

Flash Player「Dolores」

コード名「Dolores」は、2012年の下半期にリリースされる予定です。つぎの機能が、6月1日付でCyrilからDoloresに繰り延べされました。また、プレミアム機能の情報が加わっています。

  • ByteArrayによるLZMA圧縮のサポート。

Doloresのプレミアム機能

Doloresから、プレミアム機能を使うコンテンツにはライセンスが求められます。

  • domainMemoryのAPIをStage3DのAPIとともに用いる場合、Adobeのライセンス契約にしたがった制限をともなう。ライセンスを得ないコンテンツは、ハードウェアでなくソフトウェアモードで描画される。
  • デフォルトでは、デバッグプレーヤーでプレミアム機能を使ったとき透かしが表れ、ライセンスを要することが示される。プレミアム機能を用いた開発やテストの便のため、デバッグプレーヤーの設定で透かしは表示しないこともできる。

[*1] Flash Playerプレミアム機能については、akihiro kamijo「Flash Playerプレミアム機能の発表」「Flash Playerプレミアム機能についての補足」およびAdobe「Flash Playerプレミアム機能に関するFAQ」が参考になるでしょう。

[*2] CyrilはFlash Player 11.3としてAdobe Labsからベータ版が公開されています。

[*3] 詳しくは、akihiro kamijo「Flash Player 11.3のBittmapDataの新しいAPI」および「BitmapData.drawWithQuality()メソッド」をご参照ください。

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