知らない頃の視点で [Edit]

学校での勉強を楽しいと思ったことはない私ですが、学ぶこと自体は楽しいって思います。でも、一度分かるようになると、わからなくてもどかしかった頃の気持ちを忘れてしまうのかもしれない。

高校、短大と家庭教師をしていました。
一人は、学校に行くのも嫌がる不登校直前の子でした。彼は、とにかく人の話を聞きません。授業中も、まったく脈絡の無い質問をしてきます。
気負うのを止め、相手の聞くままにおしゃべりをしてみることにしました。すると、質問が止みました。まるで、回答を得られることを想像していなかったかのよう……。会話に慣れていないだけかも?と思った私は、多くの時間を日常会話の勉強(国語?)に充てました。

もう一人、数学を教えていました。話を聞くと「中学生なのに、分数がわからない」という苦手意識があるようでした。ためしに、おはじきを使ったり、新聞を折り畳んでみたりしてクイズ風に問題を出しました。あとでその問題を教科書内の問題に置き換えると、今度はしかめ面もなく解いてくれます。

後になって出会った研究者さんは、こう言っていました。
「子供だましなんてありえない」と。大人は体裁を保つため、分かっていなくても分かったフリをして納得してくれるから、だますことができる。けれど、子供は分からないことは分からないと言うので、分かるように説明するしかない。子供が分かるように作るのは一番難しいことです。

私も、知らないことがたくさんあるときは、とても不安というか無防備な気がしていたように思います。そんなときに凹むようなことがあると、次の挑戦に躊躇してしまうのかしら?二人をみていてそんなことを思いました。

いま、勉強もののデジタルコンテンツを作るときは、分からなかった(昔の)ころの気持ちを一生懸命に思い出しつつ(想像しつつ)構成してみています。
何が正解なのか、いつもいつも悩みながらですが……。

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