「人にモノを頼むときには7割まで準備してから残りの3割を依頼しなさい」とは、新入社員のころ、先輩に言われた言葉です。
営業マンだった私の当時の業務は、担当店舗を回ってコンサルティングのようなことし、商品の注文を受けることでした。
担当店舗の売れ行きは店員さんの力の入れ具合によって大きく変わります。そこで、売り上げアップのコツを伝えようとするのですが、余計な仕事を増やすと嫌がられます。その方法とは、「POPは印字でなくて手作りの方が効果があります」など手間のかかるものばかりなのです。
とはいえ、嫌がられて「そうですか」と引き下がるわけにはいきません。さて、私は何をしたでしょう?画用紙をもらってお店の隅っこに行き、その場で画用紙を切りはじめました。POPの台紙を作りはじめたのです。そして、面倒な商品名と値段を書いたあとで、添えてほしい「ひとこと」の場所だけを空けて渡しました。
このポイントは、次の3点です。
1.画用紙をもらったように、これから作業をはじめますよと押し付けがましくなく宣言すること。
2.店の隅で行ったように、邪魔ではないけど目に付くところで作業すること。
3.「ひとこと」を空欄にしたように、楽しくできる最後の仕上げを残して渡すこと。
10割を全部やってしまうと感謝されこそすれ、次も同じことを期待されるため自分の負担が軽くなることもありません。
7割まで作られた見本があるので、やり方は分かります。最後だけ行うこととその効果を実感できることで、相手にやりがいがうまれます。相手がこの二つを容易に発見できるように準備することが「7割」の理由です。さらに効果のあまり見られ無かったときは、変化がある部分を解説し、褒めちぎりました。
7割じゃなくて6割とかひとこと言うだけでも、協力してもらえるともっといいんですが…。
あなたが、人にモノを頼むときのコツはなんですか?