2007.05.12 Adobe Flash CS3 Professional ことはじめ [Edit]
最終更新日:2013.07.02
demo1「Adobe Flash CS3 Professional 概要」 講師:西村真里子@Adobe社
demo2「とうとうAS3がやってきた」 講師:野中文雄
demo3「デザイナーからみるCS3の良し悪し」 講師:笠居トシヒロ&サブリン
司会:サブリン
demo1:Adobe Flash CS3 Professional 概要
| 講師:西村真里子 アドビシステムズ株式会社 マーケティング本部Web&ビデオ部フィールドマーケティングマネージャー 発売を控えた日本語版CS3の概要を話して頂きました。
資料pdfはこちら |
FLASH CS3 製品概要
FLASHが入るCS3パッケージ。
- DESIGHN PREMIUM:印刷、Web、モバイルパブリッシングを実現するグラフィックデザイナーのためのツール
- WEB PREMIUM:Webデザイン、開発に確信をもたらすプロフェッショナルのためのトータルソリューション
- WEB STANDARD:Webデザイン、開発、管理を効率的に実現
- PRODUCTION PREMIUM: アイデアを思い通りの映像にする統合ポストプロダクションソリューション
- MASTER COLLECTION: すべての表現のために(全部いり)
動作環境
- 最新のOS(Vista, Intel Mac)に対応
アドビストア提供価格(税込み)
- 通常版:88,000円
- アップグレード版※1:26,000円
- Mac OS X v.10.4.8 日本語版
- Windows XP (Service Pack 2) 日本語版、または Windows Vista(Home Premium、Business、Ultimate)日本語版
- アップグレード版※2:52,500円
- アカデミック版:33,600円
- ※1:対象:FLASH MX,MX Professional 2004,Professional 8日本語版の正規登録ユーザ
- ※2:対象:FLASH MX2004,Basic 8日本語版の正規登録ユーザ
その他
- 製品発表は6/22予定
- 3世代前からアップグレード対応可能。
- Flash Basic8からのアップグレードも提供。
- Studio8からWebStandardへのアップグレード可能。
- 先にWebPremiumを購入し、差額を払えばMasterCollectionが購入できる。ただしサポートに電話で確認すること。
- パッケージはDVDケースくらいに小さくなる。
FLASH CS3
FLASHから広がるシナジー
グラフィックの読み込み、Flash Videoへの書き出し、モバイルコンテンツ開発もFLASHから広がります。
Flash Playerの普及率
- Flash Player9は、すでに81.8%の普及率。去年から先行リリースすることにより、早い段階で高い普及率に。
- 7億台以上の端末にFlash Lite/Flash Player SDKが搭載されている。
FLASH CS3の売り
Photoshop/Illustratorとの強固な連携
- Photoshop PSDファイル読み込み時のフォルダ、レイヤーごとの調整、選択、シンボル化が可能になり、スライス等の余分なステップが省略できるようになった。
- Illustrator AIファイルのベクトルオブジェクトをそのまま読み込み可能。さらに Illustratorと同様のペンツールエンジンを搭載!
デザイン・開発の作業効率向上
- アニメーション、エフェクト、は再利用ができず、つど製作し直しが発生していたが、モーションやフィルタのコピー&ペースト搭載され、大幅に改善された。
- ActionScript3の強力なデバッグ機能が搭載。迅速および簡単に問題判別可能。 コードの折りたたみ機能が利用可能。
- ActionScript3の計算処理能力はActionScript2.0時代からパフォーマンス10倍以上
Device Central
- デバイス固有のFlashコンテンツ再生速度のシミュレーションを始め、メモリ、電池残量、電波状況などの確認が可能に。
その他
- 使いやすくなったUI
- Adobe CS3アプリケーションとの一貫性を重視したAdobeインタフェイス
- Flash Videoに字幕キャプチャ機能が追加。
- ActionScriptアニメーションのQuickTime書き出し
- Adobe Bridge(SWF/FLV再生サポート)
- シェイプ機能向上
- 他にも細かい部分で色々改良されてます。
Adobe スゴロク CS3
http://sugorock.net/
Flash/WebでCS3の新機能が学べる、遊べる、創れる。(リリース後、コンテンツが更に展開)
demo2:とうとうAS3がやってきた
| 講師:野中文雄 いつも丁寧にActionScriptを説明してくれる野中氏。 今回は、Adobe Flash CS3で使うことができるActionScript3.0を車と、秒針の作例を元に分かりやすく、ご説明いただきました。 |
ActionScript3.0とは
水泳に例えると、ActionScript1.0とActionScript2.0では、ビート板を使って泳ぐことができた。しかしActionScript3.0では、ビート板なしのクロールで泳ぐようなもの。
修得するまでには時間がかかるかもしれませんが、修得すればより強力な武器を手に入れることが出来そうです。
ActionScript3.0:プロパティの「_(アンダーライン)」はなくなった!
ActionScript2.0までは馴染みの深かった「_x」などのアンダーライン。
ActionScript3.0からはなくなり、「x」と書くようになった。
また、今までの「_xmouse」は「mouseX」と変わったので、このあたりも注意が必要。
- [ActionScript1.0/ActionScript2.0]
car_mc._x = 550;
- [ActionScript3.0]
car_mc.x = 550;
ActionScript3.0:イベント処理
ActionScript3.0からは、イベント処理をする場合はすべて「addEventListener」を使って、
イベントと、イベント発生時に使う関数を登録することから始まる。
ActionScript3.0を使う場合、ボタンインスタンスへのアクションは記述できなくなるので注意しましょう。
- addEventListenerの使い方
addEventListener("何のイベント?", "イベントが起こったら何をする?");
以下のように"enterFrame"とイベントの実体を直接書いても良いが、
addEventListerner("enterFrame",rotate);
"enterframe"と書くと動かなくなってしまうので、
ActionScript3.0スタイルでは、Event.ENTER_FRAMEを使うほうが良い。
addEventListerner(Event.ENTER_FRAME,rotate);
呼び出される関数には、イベントが発生した際、自動的に値が引数として渡されるため、
常に受け取るようにしよう。この引数を無視するとエラーになってしまうので注意が必要。
function rotate(eventObject){
rotation += 5;
}
以上、慣れない人には難しく感じる部分も多くあると思いますが、
Flash CS3にはActionScript3.0以外にも、沢山改良された点もあり、使い勝手は格段良くなっているようです。
野中氏一押しの改良点
今まで、テキストの縦(H)横(W)サイズをプロパティインスペクタから直接数値入力すると、入力した文字そのものに変形がかかってしまいましたが、CS3では改善され、変形されなくなりました!
これはFlash使いにはたまらない改良点ですね!
以上、より詳細な情報として、このセミナーの元ネタとなった野中氏が執筆中のActionScript 3.0解説書の原稿を特別公開してくれたので、参考にしてください。
「01 ActionScript 3.0を使ってみよう」
http://www.fumiononaka.com/Sample/F-site/ActionScript30_01.html
「02 スクリプトによるアニメーション」
http://www.fumiononaka.com/Sample/F-site/ActionScript30_02.html
demo3:デザイナーからみるCS3の良し悪し
| 講師:サブリン&笠居トシヒロ Flash界の意見番 サブリン、笠居両氏がFlashCS3をぶった切り。CS3の新機能リストをもとに、実際にデザイナーにとってどの程度メリットがあるのかという内容で語っていただきました。 |
ユーザーインターフェースの改良
- ツールが一列になったことは一長一短(場所の節約には繋がるが慣れるのに時間がかかる)
- レイヤー一覧のゴミ箱アイコンの位置が左側に寄った(押し間違い注意)
- バケツツールのアイコンの向きが逆向きに!(Adobe式になった)
Photoshop/Illustratorの読み込み
- 今まではFireWorksをコンバーター的に使ってそれぞれのファイルをFlashに読み込んでいたが、その作業が不要になりそうな賢さ!
- このインポート機能だけでもアップグレードの価値があるかもしれない
Illustrator
- CMYK(Illustrator) → RGB(Flash)でもまともに変換される
- グラデーションの読み込みも全く問題ない(CMYKのグラデーションもOK)
- 文字の内容やプロパティもインポート可能(ただし、オープンタイプのオプションなどのFlashが扱えないプロパティには当然非対応)
- Flashが扱える限界以上のコントロールポイントを持つグラデーションは複数のシェイプに分けて読み込まれるので見た目上のグラデーションは維持される(グループを分割しすぎると、一部のシェイプの透明部分が上に来ることがあるので注意が必要)
- Illustratorファイルの読み込みダイアログはよくできているが、Illustrator内でFlash用にレイヤー構造を整理しておくと、よりスムーズに連携できそう
PhotoShop
- 透明度やブレンドモードが付いたレイヤーはムービークリップに変換され、それぞれのプロパティが適用される
- 調整レイヤーはエフェクトが適用された状態で画像がレンダリングされ読み込まれる
- ベクター的なオブジェクト(レイヤーシェイプなど)はベクターデータとして読み込まれる
モーションをAS3化&タイムライン上でのモーションのコピー
モーションをAS3化
- デザイナー的にはあまり意味がないかも…
- 出てくるダイアログの意味がよくわからない…
- 再調整のワークフローを考える必要がある
タイムライン上でのモーションのコピー
- これは使えるかも!?(慣れは必要)
- アニメーションの使い回しがしやすくなった
(ベジェ)ペンツール
- Illustrator互換になったので直感的になった
- コントロールポイントやハンドルの選択が簡単
- Shiftキーを押しながらの制御などで若干動きがおかしいところがある
- 全体的に見て向上した部分が多いのでOK
新シェイプ
- 角丸四角形が簡単に作れるようになった!
- 円の方は何に使うのだろう?(グラフ、ドーナッツ、パッ○マン?)
- 変形ツールなどを使ってリサイズするとシェイプが崩れる(プロパティパネルから入力するかパワーアップした9スライスを使うとよい)
9スライスプレビューの改良
- 8ではできなかったリアルタイムプレビューが可能に(8の時点で付いているべきでは?)
ActionScript 3.0
- AS3はAS1&2と混在できないので注意が必要
- 10倍速いといわれているものの、描画エンジンは変わっていない
- デザイナーは手を出さないほうがいい(3が理解できる人はそもそもデザイナーとは呼べない)
- 今までのユルユルだったデザイナーとプログラマーの分業スタイルは成立しない
- 少しだけスクリプトを書いていたデザイナーにはつらい時代が来た(使わなければ良いとも言う)
- ちゃんとコーディングができる人にはもちろんメリット大
QuickTime Exporter
- スクリプトやムービークリップを使ったファイルも書き出しできるようになった!
- ビデオ系プロダクションの素材製作用としても使える
- Flash Playerがリアルタイムに処理できないような内容は一度QuickTimeとして書き出してからビデオ読み込みしよう
Adobe Device Central
- エミュレーター機能がすごい!
- 端末ごとのメモリ容量など、内部的な情報も見ることが可能
- デバイス情報はAdobeが気合を入れて更新予定(日本のキャリアも協力を表明している)
- 対応する機種にあわせてファイルが作成できる
Video Exporter 改良
- 地味だけど確実な改良
- インタレース除去は今までは別のソフトに渡す必要があったので便利
- AS3とAS2だとスキンのオプションが変わるので注意
- スキンの見た目などはコンポーネントインスペクターパネルから変えられる
- スキンの透明度を0%にすると自分のオリジナルデザインのスキンを被せやすい(カンプ用途などにオススメ)
お楽しみじゃんけん大会
今回はCS3発売記念とあって、なんとAdobeさんから、CS3それぞれのコレクション…のパッケージを模した花の種をいただきました。他にも書籍やDVDなど盛りだくさんの内容でした。
Adobe さんより
ロクナナ さんより
株式会社 毎日コミュニケーションズ さんより
- Flash プロフェッショナル・スタイル(7/上旬発売予定) 獲得権(まつむらまきお、笠居トシヒロ、A.e.Suck、サブリン、森巧尚、野中文雄、ほか著) →2冊
オーム社 さんより
- FLASHアニメーション制作バイブル(7/上旬発売予定) (A.e.Suck著) →3冊
二次会
二次会は45名が参加。前回に比べれば若干人数が少ないものの、それでも過去最大級でした。FlexやFlash Lite など他ではなかなか話せないことを語っていた人たちも多数いましたよ。いつか、セミナーのお題にFlexやApolloが出てくる日が来るかもしれませんね。
レポート作成
むらけん、佐々木史織、小野田 智
写真
桜井和貴、鈴木 麻里子
Special Thanks
平松 寛司