テキストエンジンのTLFテキスト(テキストレイアウトフレームワーク: Text Layout Framework)は、Flash Professional CS5の新機能です。ところが、そのインスタンスを生成・制御するTLFTextFieldクラスについて[ヘルプ]で調べると、「ランタイムバージョン」が「Flash Player 10, AIR 1.5」とされています(図001)。
図001■ Flash Professional CS5の[ヘルプ]の[TLFTextField]クラスの説明冒頭
「Flash Player 10, AIR 1.5」というのは、Flash CS4 Professionalの対応バージョンです。もちろん、CS4の[ヘルプ]を見ても、fl.text.TLFTextFieldというクラスは見当たりません(図002)。そして、前掲CS5の[ヘルプ]にも「製品バージョン」は「Flash CS5」と記されています(図001)。
図002■Flash CS4 Professionalの[ヘルプ]に表示されたflパッケージ
実際にたとえば、[ヘルプ]の「Text Layout Framework の例:ニュースレイアウト」に紹介されたクラスをパブリッシュして、Flash Player 10.0.45.2で見ても問題なく動作します[*1]。
実は、テキストレイアウトフレームワークは、すでにFlash CS4のときにAdobe Labsから追加機能として提供されていました。その解説記事「Text Layout Framework による 新たな文字表現」には、つぎのように説明されています。
これらはすべてActionScript 3.0によって実現されており、Flash CS4 Professionalのような特定のソフトウェアの機能というわけではありません。
おそらく、これはFlash CS5でも同じで、新しい機能ではあってもFlash Player 10のActionScript 3.0で処理が可能になっているものと考えられます。ほかにも、インバースキネマティクス(IK)のスプリング機能など、Flash Playe 10で動くものは少なくないようです。
新しいFlash Player 10.1対応の機能には、たとえばMicrophone.sampleDataイベントが挙げられます。これは[ヘルプ]の「ランタイムバージョン」に明記されています(図003)。
図003■Microphone.sampleDataはFlash Player 10.1対応
Flash CS5の[ヘルプ]を調べるときには、この「ランタイムバージョン」をよく確かめる必要があるでしょう。
[*1] ただし、クラスTLFNewsLayoutに修正が必要なことについては、「flashx.textLayoutパッケージのクラスを使うとコンストラクタからStageにアクセスできない」をご参照ください。