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囚人のジレンマ − フォン・ノイマンとゲームの理論 [Edit]

ウィリアム・パウンドストーン(著)/松浦 俊輔(訳)
価格:\2,730(税込)
発売:1995/03
出版:青土社
ISBN:4791753607

フォン・ノイマンの生涯と彼が創始したゲーム理論の発展を、米ソ冷戦の状況と重合わせて描いたドキュメンタリーです。

フォン・ノイマンは、コンピュータの発案者として有名です。それだけでなく、量子力学の数学的基礎を築いた数学者・物理学者であり、経済学者でもあります。世界で最も頭のよい人物と評され、一度読んだ本は諳んじることができたといいます。彼が設計したコンピュータの計算を、検算して確かめたのも、彼自身だったそうです。

ゲーム理論とは、利害の必ずしも一致しない状況における合理的意思決定について、数学的に分析し、最適解を探るものです。映画「ビューティフル・マインド」の主人公ジョン・ナッシュは、このゲーム理論を発展させた功績により、ノーベル経済学賞を受賞しました。

本書は、ハンガリー出身の天才的科学者の人生を、彼の人柄や思想を交えて描いています。時代は米ソ冷戦の最中で、国家間の利害がまさに対立している状況です。フォン・ノイマンの伝記あるいは当時の国家間紛争を描いたドキュメンタリーとして楽しめるだけでなく、ゲーム理論の基礎やその展開についても解説がつくされています。ゲーム理論の入門書としても、十分役立つ内容でしょう。360ページと決して薄い本とはいえませんが、一気に読めます。

ところで本書は、書評で見て、渋谷の三省堂で探しました。でも、見当たらなかったので、近くにいた三省堂のおねえさんに尋ねました。即「こちらです」と案内してくれた棚には、「国際犯罪」とプレートが貼ってありました。並べたのはきっとそのおねえさんだと確信しました。

[註釈]「囚人のジレンマ」とは、それぞれが合理的に行動した結果、互いにとって望ましくない状況に陥ってしまうという、ゲーム理論で盛んに議論されてきた問題です。ふたりの囚人を例にして語られるため、この名前がつきました。犯罪とは何の関わりもありません。

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