2007.02.03 Creative Spiritのまとい方 [Edit]

demo1「ぼく的Creativeこだわりどころ」 講師:タナカミノル
demo2「Create魂-Flashアニメ制作論-」 講師:青池良輔
demo3「クリエイター・トークセッション」 スピーカー:ゲストとF-siteのなかまたち

司会:まつむらまきお


demo1:ぼく的Creativeこだわりどころ

講師:タナカミノル
広告系サイトFlashサイト制作を中心に活躍するタナカ氏に、クライアントからのニーズを超える作品を産みつづけるために大切なCreate魂を、事例を交えてご説明いただきました。

アイブラブ夏ケイバ

 昨年夏のJRAキャンペーンサイトで、相武紗季さんがイメージキャラクター。
 このサイト制作には実は途中から参加したとのこと。
 夏・ケイバとくれば「芝生じゃん!」
 チョウを飛ばして「『バタフライプロジェクト』として他の案件の中でも飛ばしてます」など、デザインをプレゼン。
 実はこのチョウ使い回ししただけとのこと。
 すべての理屈は後付け。自分の思考の流れをいかに相手に伝えるか、「プレゼン能力」が大切。
 「みなさん、どんどんプレゼンしましょう!」とタナカ氏。

Cube Blog ブログシール『Driving Cube』

 NISSAN Cube Blogのデジタルアイテム。ブログパーツでは当時先駆けのフローティングもの。
 この企画には、他の有名イラストレーターも参加しており、「負けたくない」という思いが強かったとのこと。と、某パパさんの赤ちゃんをかかえてPCに向かう写真を見せて...「本当にいい姿だ」とタナカ氏。

MOTORAZR

 MotorolaのケータイFOMA M702iSのサイト。

 下部メニューの「OPEN VOICE」から入ると、マウスで画面を「切る」ことができ、そこからユーザーのコメント・ブログが閲覧できる。
 この「切る」が気持ちいい! 司会のまつむらまきおさんも思わず「ちょっとやらせて!」
 企画の元ネタは「ららぽーとLaLaLog」。
 これをまんまパクルんでなく、+アルファで自分のものに。
 「ミーハーでありつつ、とんがる」とタナカ氏。
 クライアントを説得するには、やはり見せるしかない。
 説明をしないで使えるインターフェイスをと考え、画面内を少し動かすと「切る」ことができるように。
 実は制作が終わった時点では黒ベースだったのが、クライアントから「白に」変更!
 でも「結果白ベースの方がよかったかも。」とタナカ氏。
 クライアントの要求を満たしたうえでもさらに模索し、無理だと思っても試行錯誤した結果、いいものができていく。といった過程を聞くことができました。

Wooo脳

 日立テレビ50周年ありがとうキャンペーン Wooo脳を鍛えて素敵なプレゼントを当てよう!というサイト。
 クイズの答えを探しに製品訴求ページへ行く。そこでもメインのかわいいドット絵キャラクターたちが、フローティングFlashでヒントを教えてくれる。
 最初のデザイン案は、脳トレのパクリ。「ここまでパクったら話題に?」とタナカ氏。もちろん修正。

リクナビLIVE

 リクナビのブログパーツ。元ネタは自作のマイミク募集中バナー
 クライアントとの初回打ち合わせで、なんと1時間ほどで中身が決定。人に伝えるコピーは大切。「いかにワンコピーにまとめられるか?」を大事にする。
 コピーライターさんはワンワードで複数の意味・多様性をあらわすコピー100案とか平気で書いてくる。
 「コピーのプロじゃないしすごい短文にする必要はなく、煮詰める必要はない。30文字ぐらいで。」
 それを伝える=全部を伝える とタナカ氏。
 いっしょにお仕事する広告代理店の方のよく言うセリフが「ぶれてます」。
 だから「ぶれない」を押さえておく。

スペースシャワーTVオフィシャルサイト

 このサイトがアートディレクター的な仕事のきっかけとなったとのこと。
 いいんだけど音楽じゃない社内デザイナーA案とターンテーブル・レコ盤でかなりつくりこんだタナカ氏のB案とがあったが、ボツに!。
 だがしばらくして社長の一声...「これだよ、うちは!」奇跡が起こったとタナカ氏。
 四六時中案件が頭の中をぐるぐる回って、これがだめなら死んでやる!というつもりでやったとのこと。
 何か残したい。何か伝えたい。というタナカ氏の熱い思いが伝わりました。

MdNデザイナーズファイル2007

 去年に引き続き今年も掲載されている。
 今年は肩書きを「総合格闘デザイナー」にしたとのこと。Webデザイナーがデザイナーヒエラルキーの中で低いので「自分キックだけ?ボク総合でやってます」と言いたかったからとのこと。

GAINER

 GAINER(ゲイナー)はユーザー・インタフェースやメディア・インスタレーションのための環境。
 かなりはまってますとのこと。これを利用して、ペットのハムスター「ちーずまる」が回し車を回すのを感知し、Flashでハムスターが動き出す。というものを試作。
 時間がなく詳細は会場で見れなかったが、彼のシェアオフィスKURUKURUに行けば見れる。

 終了後、休憩中にすれちがった人が「熱い話聞けたー」と笑顔。ほんまにええ話聞けました。また飲みたい、いや聞きたいですね。


demo2:Create魂-Flashアニメ制作論-

講師:青池良輔
Flashアニメ作家、青池良輔氏の新刊『Create魂』で語られている創作論を中心に、アニメーション制作における着想から脚本・演出、自主制作と受注制作の違いなどのお話を、事例を交えながらご紹介いただきました。

自主制作の種類

  • 好きなように作る(手芸をする)
  • 売るつもりで作る(ヤフオクで売るものを作る)

自主制作作品『PERESTROIKA』について

制作時の作戦
  • 携帯のショートアニメなどに使える尺を想定し、2分x12本というフォーマット
  • ウェブ、モバイル、DVDを意識
  • 英語版・日本語版の制作
  • おまけ要素の追加
企画書
  • 企画書は、8ページくらいにまとめる
    • 厚いと読んでもらえない
    • しかし、チャチなものだと信用されない
  • 作品の雰囲気が伝わるように
  • スケジュール案
脚本
  • まず面白さからスタートして、次に実現可能かどうか
  • 200字=1分の換算
  • 絵コンテではなくシナリオで進めるのが青池スタイル
    • ある程度はカット割りなども考えるけど、あくまで文章が先
    • 画に引っ張られるのがいや
  • 日本とカナダで、合わせて40人ほどに読んでもらった
    • 国籍、性別、年代でウケる箇所を探すため、感想シートを書いてもらった
    • もともとのプラン20本から12本に絞り込んだ
  • マーケティングは大事
    • 自分では「最高!」と思っていたのに、人にはすごく気持ち悪い目で見られることがある
    • 極端な例では、ウ○コをリサイクルするお話……(笑)
セット制作
  • 買ったものは、机と椅子と電気程度
  • あとは全て手作り
キャラクター制作
  • アルファ付きPNGを傾けて動かすと汚くなったので、JPEGを使ってFlashでマスクをした
  • しゃべっている口の部分だけを差し替えることでファイルサイズを下げた
  • キャラクターの向きバリエーションは、30度ずつ動かして撮影

『がんばれハチロー』について

制作にあたって
  • Macromedia(現Adobe)からのオファーで制作
  • Flashを知らない人へのアピール
  • Podcastなので、音にこだわりを
画コンテ
  • タイムコード、カットナンバーなどはナシ
  • 画コンテでの進め方が分からない人に画コンテを渡すと、「色がないと分からない」などと言われたりする
    • クライアントに見せるための「見せコンテ」と、自分のための「マイコンテ」を作る
    • コンテの種類にはこだわらず、自分やプロジェクトに合ったものを採用する

創作の壁

  • オリジナリティの壁
  • ビジネスの壁
  • パワーバランスの壁
  • マネージメントの壁
  • 自己満足の壁

demo3:クリエイター・トークセッション

スピーカー:ゲストとF-siteのなかまたち
まつむら氏、タナカ氏、青池氏、笠井氏、野中氏、A.e.Suck氏、サブリン氏の超豪華クリエイタ陣によるトークセッションが行われました。事前に参加者から募った質問をお題に、各々のクリエイティブスタイルに関する事や、ぶっちゃけトーク等ここでしか聞けないような話題もチラホラ……? 予定していた時間を越えて、熱く盛り上がりました。

内容抜粋

『Flashはまだまだ未熟者です。これからの自分に対してアドバイスを下さい。』
  • 目標、例えば作りたい物、伝えたい事を持つ
  • 完成した作品は公開し、フィードバックを得る
  • ソフトはちゃんと買う。教えてシリーズも買うといいかも(笑)
『ディレクションとして、(制作・クライアントと)どう関わっていくべきでしょうか?』
  • WEB業界に関して言えば、スタイルがまだ確立されていない部分もあると思うので、色々な人と関わりながら自分のスタイルを模索する
  • 積極的にコミュニケーションをとり、全員が共通意識を持てるようにする
  • 現場を全て把握して、流れがブレないようにする
『フォトショップ、ファイアーワークス、イラレの使い分け方を教えて下さい』
  • 前回の講座を見に来ていれば解ったのに(笑)
  • 色を重視する時はフォトショップを使うとか?


お楽しみじゃんけん大会

恒例のじゃんけん大会は、demo2で講師を勤めて頂いた青池良輔さんのサイン本が貰えるとあって会場もヒートアップ!
青池さん、素敵なプレゼントありがとうございました!

青池さんより:
Create魂 Flashクリエイターによるオリジナルアニメ創作論 2冊

二次会

二次会は63名が参加!東方見聞録にて過去最大級の大宴会となりました!
初めての方も、常連の方もわけ隔てなく、和気藹々とFlash談義が繰り広げられたのでした。


レポート作成
tommy、沖良矢、KURAGE
写真
桜井和貴

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