アニメ自慢特別編

第18回DoGACGアニメコンテストで、見事、佳作に入選された、吉田 暁氏の「花の翳」と、グラフィック賞に輝いた丸山 薫氏の「吉野の姫」という素晴らしい２作品を、F-site恒例アニメ自慢スペシャルとして、特別上映させていただきました。
さらに、お二方にはそれぞれの作品の生ファイルをお持ちいただき、こっそり、制作秘話も公開していただきたい、というとても贅沢なお願いに、快く応じてくださいました。

和風のしっとりした美女を描かせたら、FLASH界に並ぶものが無い、吉田 暁氏。

今回は氏の最も得意とする、艶やかな姫と幻想的な桜が織りなす平安絵巻。どこをとってもとにかく美しいアニメーションです。今回は15分バージョンを上映、さらに、そのFLAファイルも公開。制作秘話を聞かせていただきました。

• 背景のコツ
  背景はPhotoshopで描いていますが、モニタではなく、テレビ画面などで上映することを考えると、RGB値だときれいにいかないので、ビデオ/NTSCカラーフィルタで変換したものを読み込んでいます。
  
  
  
  


• 夜桜の木は一本だけです
  夜桜の木は、実は一本しか描いていないんですよ。大きいのを描いて、いろいろと使い回しているんです。
  桜の花びらも、２種類。 A.e.Suckさんの本を見て研究しながら。　一番手前の花びらは、一度FLASHで作ったものをPhotoshopでぼかしをかけてからもう一度取り込んでいます。
  夜なので、背景をあまり描かないでいいのが助かりました。(笑)
  
  

• トゥイーンと中割り
  髪の毛の動きは動き毎にレイヤーを別にして、トゥイーンで動かしています。（レイヤーのアウトライン表示にすると、どのように分けられているか、動きがどうなっているかがよくわかります）
  
  
  
  

姫が涙をぽろりと落とすシーンは、涙だけは、別にひとコマずつのフレームアニメーションです。 こう、泣くシーンなんかは、「泣け~！」っていいながら描いたりします。そのシーンのような表情をしたりもしていますよ。

• 手、顔、髪の動き
  手を先にだして、後から顔が出てきます。
  さらに、二人の姿がフレームアウトしてから、余韻で髪の毛が動くのですが、実は、髪の毛は変形でゆっくりと伸ばして、そして、消す。
  という手法で作っています。





• ３Dのスケルトンのような設定
  鍬を使って土起こしをしているシーンでは、体の関節部分で分けて細かくレイヤーにして、トゥイーンを組み合わせて動きを作っています。
  
  まるで、３Dのスケルトンを使って、動きを組み立てているような感じです。

吉田さん、とても素晴らしい作品をご紹介下さり、どうもありがとうございます。次回作を楽しみにしています。
※吉田さんの作品はこちらでご覧になれます。
「花の翳」
http://digi-akira.net/hana/index.html

愛くるしい少女達と、洗練された中華テイストのイラストで他を圧倒する丸山 薫氏。
今回は、CGアニメコンテストでグラフィック賞を受賞された『吉野の姫』を上映していただきました。その他、最近に制作された講談社の「MiChao!」の宣伝用アニメーションの制作秘話を公開していただきました。

「吉野の姫」のみどころ

この作品の制作期間は、他の制作はいっさい入れずに、専念して２ヶ月ほどかかりました。

• 驚きのフルビットマップ
  大元のパーツはすべてPhotoshopで描いています。そのため、FLAファイルのレイヤーのアウトライン表示にしても、四角形しか表示されません。 FLASHは　ほぼ編集ソフトとして使っているようなものです。 実はその後After Effectsも買ったのですが、ちょっと……まだ使ってはいません。（笑）
  
  
  
• ライブラリはカット単位で整理しています
  まず、鉛筆で紙に線画を描いてスキャンして、カット毎に
  Photoshopで色を塗ります。それからパーツや背景などを
  PNGやJPGファイルに書き出してFlashに読み込んで動きを
  つけて行きます。
  ※ライブラリには見事にビットマップが並んでいて、それぞれが動きの一コマであったりしています。
  

丸山式アニメ術

• いちどFLASHで中割りを作成する
  実は、振り向きなど簡単なもの以外の複雑な動きは、直接紙の上では中割りができないので、一度FLASHで中割りを作り、その絵のスクリーンショットを取って、プリントアウトをし、鉛筆でトレスして、さらにスキャンしています。FLASHのアニメのところは、私も、歩きや走りなどA.e.Suckさんの本にとてもお世話になってます。
  

• ちゃおこが走るプレゼン用絵コンテ
  絵コンテは、それだけでどのような動きがあるのか、画面にはどういう絵が描かれるのかがすべてはっきりわかるように作ります。
  自分用の作品用の場合はこれほどは丁寧には作りませんが、クライアントチェック用の絵コンテは、アニメーションを完成させてから、やり直しをするのはとても大変なので、とにかく絵コンテでどのようになるのかをきちっとイメージしてもらえるように作ります。
  
  
• 静止画ムービー
  次に、音楽にあわせるため、FLASHに音楽を読み込み、コンテのシーンの静止画を切り替わるタイミングで置いて、書き出します。
  それで、どんな感じかをクライアントに見てもらいます。

丸山さん、とても貴重な絵コンテの公開、どうもありがとうございます。すごく参考になりました。

※丸山さんの作品はこちらでご覧になれます。
「吉野の姫」
http://maruproduction.com/flash/yoshino.html
「miChao! Movie」
http://moura.jp/manga/michao/pup_movie.html

以上、吉田 暁氏「花の翳」と、丸山薫氏「吉野の姫」の上映および、とっておきの制作秘話公開でした。
共に、映像の美しさでは甲乙つけがたいお二人の作品のこと、会場中、真剣に画面に魅入られる姿がたくさん見受けられました。
全く、同じ桜という題材を取りあげながら、それぞれの持ち味が充分に発揮され、とても対照的な作品に仕上がって、観る方としては、とても贅沢な時間を持つ事が出来ました。　吉田さん、丸山さん、どうもありがとうございます。

以下、目録です。

	■毎日コミュニケーションさまより 「おしえて!!FLASH 8 ActionScript」(２名様) 「おしえて!!DREAMWEAVER 8」(２名様) 「おしえて!!FLASH 8」獲得権(２名様)
	■SIHOさんより 「世界一わかりやすいブログ」(1名様)
	■原一浩さんより 「標準Webデザイン講座 FLASH 8」(1名様) 「プロセス オブ ウェブデザイン」(1名様)
	■楽天さまより 携帯マスコット「わいちゃん」(5名様)